共有持分の不動産は抵当権を設定できる?売却前の注意点を解説

この記事でわかること
- ・共有持分だけなら他の共有者の同意は不要
- ・共有不動産全体の抵当権設定は全員同意が必要
- ・競売対象は原則として抵当権付きの持分のみ
- ・第三者が共有者になると分割請求の可能性あり
- ・売却前に残債と抵当権抹消の確認が必要
相続などを通じて、土地や建物を複数人で共有しているケースがあります。
融資を受けるために自分の共有持分へ抵当権を設定したい場合、他の共有者の同意が必要なのか気になる方もいるでしょう。
この記事では、共有持分への抵当権設定に同意が必要か、競売時の影響範囲や売却前に確認したい注意点を解説します。
共有持分に抵当権を設定するには
共有者の同意が必要?

自分の共有持分だけなら同意なしで
抵当権を設定できる
結論からお伝えすると、共有持分へ抵当権を設定は可能です。
複数人で共有して所有している不動産でも、自分の共有持分を対象とする抵当権であれば、他の共有者の同意は原則として必要ありません。
一方で、他の共有者の持分に勝手に抵当権を設定することはできません。
抵当権の対象にできるのは、あくまでも自分が所有している共有持分の範囲になります。
| 抵当権の対象 | 他の共有者の 同意 |
注意点 |
|---|---|---|
| 自分の 共有持分のみ |
原則不要 | 競売時は 持分が対象 |
| 共有不動産全体 | 必要 | 全員の同意が前提 |
| 他人の共有持分 | 不可 | 勝手に 設定できない |
共有物の管理や変更については、行為の内容によって必要な同意の範囲が異なります。
共有物の管理は持分価格の過半数、共有物の変更は原則として共有者全員の同意が必要です。
共有持分の一部だけには抵当権を設定できない
自分の共有持分に抵当権を設定する場合、持分の一部だけを担保にすることはできません。
例えば、2分の1の共有持分を所有している方が、そのうち4分の1だけを抵当権の対象にする形は取れないとされています。
そのため、抵当権を設定する場合は、自分の共有持分全体が担保対象になる点を理解しておきましょう。
共有持分だけを担保にした融資は難しい場合がある
法律上は自分の共有持分だけに抵当権を設定できますが、実際に融資を受けられるかは別問題です。
不動産の共有持分は担保価値が低いと判断される傾向があるため、持分のみを担保として評価し、融資をしてくれる金融機関は限られています。
共有持分は、不動産全体を自由に売却できる権利ではありません。買主や競売参加者が限られるため、金融機関にとっては換価の見通しを立てにくい担保といえます。
完済後は抵当権抹消登記が必要になる
住宅ローンなどの債務を完済しても、登記簿上の抵当権は自動的に消えるわけではありません。完済後には、抵当権抹消登記を申請する必要があります。
共有不動産の場合でも、抵当権抹消登記は他の共有者の同意が無くても進められます。
売却や相続手続きを円滑に進めるためにも、完済後は早めに抹消登記を確認しましょう。
▼この記事も読まれています
共有持分に抵当権は設定できる?
共有持分の抵当権はどこまで影響する?

競売対象は原則として抵当権を設定した共有持分
抵当権を共有持分のみに設定し、借入金の返済が滞ると、債権者は共有持分を競売にかけるため裁判所へ申し立てをおこないます。競売の対象は、原則として抵当権が設定された共有持分です。
そのため、他の共有者の持分が直ちに競売対象になるわけではありません。
ですが、競売で第三者がその共有持分を取得すると、新たな共有者として不動産の権利関係に加わります。
第三者が共有者になると共有物分割請求につながる可能性も
競売後に第三者が共有者になると、不動産の利用方法や売却方針をめぐって話し合いが必要になります。話し合いがまとまらない場合、共有物分割請求に発展することがあります。
競売後に起こり得るリスクは、以下のとおりです。
- ・第三者が競売で共有持分を取得する
- ・新たな共有者として不動産の権利関係に加わる
- ・他の共有者へ持分の買取や不動産全体の売却を求める
- ・協議がまとまらない場合、共有物分割請求に進む
共有物分割では、土地を現物で分ける方法、一方が持分を取得して代償金を支払う方法、売却によって得た代金を分ける方法などが検討されます。
▼この記事も読まれています
分筆や共有物分割後の抵当権は専門家へ確認する
自分の共有持分に抵当権を設定したあと、不動産の分筆や共有物分割をおこなうことがあります。この場合、抵当権の効力が当然に消えるわけではありません。
分割方法や登記内容によって、分割後の不動産にも従前の持分割合に応じて抵当権の効力が残る可能性があります。売却や名義整理に支障が出ないよう、司法書士や弁護士に確認しながら進めることが重要です。
売却前には残債と抵当権抹消の可否を確認する
抵当権付きの共有持分でも売却を検討することは可能です。しかし、抵当権が残ったままでは買主の判断が慎重になるため、売却前の確認が欠かせません。
売却前に確認したい項目は、以下のとおりです。
- ・ローンや借入金の残債額
- ・売却代金で完済できるか
- ・金融機関の同意を得られるか
- ・抵当権抹消登記が可能か
- ・他の共有者との調整が必要か
抵当権・地上権・法定地上権の違い
共有持分に抵当権を設定する前に、関連する権利も理解しておきましょう。
| 権利 | 内容 |
|---|---|
| 抵当権 | 返済が滞った場合に 担保不動産から回収する権利 |
| 地上権 | 他人の土地を建物所有などの 目的で使う権利 |
| 法定地上権 | 競売で土地と建物の所有者が 分かれた際に成立する権利 |
法定地上権は、土地と建物が同一所有者に属していたこと、土地または建物に抵当権が設定されていたことなど、一定の要件を満たす場合に認められます。
単に土地と建物の所有者が異なるだけで成立する権利ではありません。
▼この記事も読まれています
共有持分に抵当権は設定できる?
共有持分と抵当権に関するFAQ
- Q1. 共有持分に抵当権を設定するには他の共有者の同意が必要ですか?
- A1. 自分の共有持分だけに抵当権を設定する場合、原則として他の共有者の同意は不要です。
-
ただし、共有不動産全体に抵当権を設定する場合は、共有者全員の同意が必要になります。
- Q2. 共有持分に抵当権があると他の共有者の持分も競売されますか?
- A2. 原則として、競売対象になるのは抵当権が設定された共有持分です。
-
他の共有者の持分が直ちに競売されるわけではありません。ただし、競売で第三者が共有者になると、共有物分割請求や売却交渉に発展する可能性があります。
- Q3. 抵当権付きの共有持分でも売却できますか?
- A3. 抵当権付きの共有持分でも、売却を検討することは可能です。
-
しかし、抵当権が残っていると買主の判断が慎重になるため、残債額や抵当権抹消の可否を先に確認する必要があります。
まとめ
共有持分には、他の共有者の同意を得なくても抵当権を設定できます。ただし、共有不動産全体を担保にする場合は全員の同意が必要です。返済が滞ると、抵当権を設定した共有持分が競売対象となり、第三者が共有者になる可能性があります。
神戸市北区で共有不動産の売却や相続不動産の整理を検討している方は、残債や抵当権の状況を確認したうえで、早めに不動産会社へ相談しましょう。
神戸周辺の不動産売買なら、株式会社東洋技研不動産事業部にお任せください。神戸に根付き50年の当社が、お客様の不動産課題を全力でサポートいたします。
