未登記の不動産は相続できる?相続の方法も解説!

市村 嘉男

筆者 市村 嘉男

神戸市北区に密着して50年。宅建士、1級ビルクリーニング技能士、ドローン操縦士という3つの専門視点から、建物の価値を多角的に見極めます。半世紀の歴史とプロ根性によるバイタリティで、お客様に「東洋技研に頼んで良かった」と言っていただけるよう、お客様の不動産課題に全力で並走いたします。

未登記 不動産 相続

相続と登記

未登記の建物を相続した方へ

相続した建物が未登記の場合、「名義変更や売却ができないのでは」と不安になる方もいるでしょう。

未登記の不動産でも相続は可能ですが、登記の状態に応じた手続きが必要です。この記事では、主に表題登記がされておらず、登記記録がない建物について解説します。

この記事のよくある質問

読む前に、気になる疑問から

未登記の不動産は所有したままでも問題ありませんか?

未登記だけで所有権が直ちに失われるわけではありません。ただし、申請義務のある表題登記や変更登記を放置すると、過料や将来の手続きの複雑化につながる可能性があります。

詳細は「未登記の不動産を放置するリスク」の見出しへ

未登記の不動産をそのまま売買できますか?

売買契約が直ちに無効になるわけではありませんが、第三者への権利の主張や抵当権の設定に問題が生じるため、実務上は売却前に登記を整えるのが一般的です。

詳細は「未登記の不動産を売買するデメリット」の見出しへ

未登記の不動産を相続したら何から始めますか?

法務局の登記記録と固定資産税の課税状況を確認し、建物を取得する相続人を確認したうえで、必要な登記手続きへ進みます。

詳細は「未登記の不動産を相続する登記方法」の見出しへ

放置のリスク

未登記の不動産を放置するリスク

未登記でも所有権が直ちに失われるわけではありませんが、放置すると過料や将来の相続手続きの複雑化につながります。表題登記や変更登記には申請義務があり、原則として1か月以内の申請が必要です。

未登記になる主な理由

未登記建物は、自己資金で建てた古い建物や、建築後の申請漏れなどによって生じます。増改築した部分だけが登記に反映されていないケースもあります。

また、固定資産税が課税されていても、自治体の固定資産課税台帳に登録されているだけで、法務局の登記が完了しているとは限りません。

建物の登記が未了になる3つのケース

  1. 表題登記自体がされていない
  2. 表題登記はされているものの、所有権保存登記がされていない
  3. 増改築後の表題部変更登記がされていない

※この記事では、主に1のケース(表題登記がされておらず、登記記録がない建物)について解説します。

未登記でも所有権は直ちに失われない

登記は所有権の発生そのものを決める手続きではないため、未登記という理由だけで所有権がなくなるわけではありません。ただし、第三者へ自分の権利を主張するには、登記が重要です。

相続が重なると、建築時の資料が失われたり相続人が増えたりして、建物の所有者を証明する作業が複雑になる可能性もあります。

表題登記や変更登記には申請義務がある

不動産登記法では、新築した建物や表題登記がない建物を取得した場合、原則として所有権の取得日から1か月以内に表題登記を申請すると定めています。

表題登記の申請期限

1か月以内

所有権の取得日から起算します。増改築により建物の種類・構造・床面積などが変わった場合も、原則として変更日から1か月以内に変更登記を申請しなければなりません。

申請を怠った場合

正当な理由なく申請を怠ると、行政上の金銭的制裁である10万円以下の過料に処される可能性があります。

未登記の可能性を確認する項目

  • 新築または取得後に表題登記を申請したか
  • 増改築で種類・構造・床面積が変わっていないか
  • 固定資産税の課税明細書に家屋番号や未登記を示す表示があるか
  • 法務局で建物の登記事項証明書を取得できるか

相続した未登記不動産の売却でお悩みの方へ売却の進め方からお気軽にご相談ください

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売買への影響

未登記の不動産を売買するデメリット

未登記のままでは所有権を公示できず、住宅ローンの担保となる抵当権の設定にも支障が生じるため、売却が難しくなります。実務上は、売却前に登記を整えるのが一般的な進め方です。

民法177条により、不動産に関する物権の取得や変更は、登記がなければ第三者へ対抗できません

未登記建物に所有権が存在しないという意味ではありませんが、買主は売主の権利関係を登記記録から確認できず、取引に不安を抱く可能性があります。

また、未登記建物には抵当権設定登記を直接行えません。表題登記と、権利部へ最初に所有権を記録する所有権保存登記を済ませてから、抵当権を設定する必要があります。

抵当権を設定するまでに必要な登記の順序

表題登記

物理的な情報を記録

所有権保存登記

所有権を記録

抵当権設定

担保を設定

そのため、金融機関の審査や融資実行に間に合わず、現金で購入できる方などに買主候補が限られることもあるでしょう。

未登記建物を売却する際の主なデメリット

デメリット発生する理由売却前の対応
第三者へ権利を主張できない場合がある所有権が公示されていない所有権に関する登記を行う
抵当権を設定できない必要な登記記録がない表題登記・所有権保存登記を行う
買主候補が限られやすい住宅ローンを利用しにくい登記完了の見通しを示す

神戸周辺で未登記建物を売却する場合も、販売活動を始める前に登記状況と必要な手続きを確認することが重要です。

ここが誤解されやすい点

登記は所有権の発生そのものを決める手続きではありません。

ただし、第三者へ自分の権利を主張するには登記が重要です。

相続の登記手続き

未登記の不動産を相続する登記方法

未登記の不動産も相続できます。まず登記記録の状態を確認し、表題登記がない建物については、1か月以内の申請義務に注意しながら必要な登記手続きを進めます。

遺産分割協議の状況によって申請方法が異なる場合があるため、土地家屋調査士や管轄法務局へ確認しましょう。

遺産分割協議書で未登記建物を特定する

最初に登記事項証明書や固定資産税の課税明細書、名寄帳を確認し、建物がどこまで登記されているかを調べます。

名寄帳とは

同一人物が自治体内に所有する固定資産をまとめた資料です。

遺産分割協議書には、課税明細書や固定資産評価証明書と照合しながら、建物の所在・種類・構造・床面積、未登記である旨、取得する相続人を記載します。

ただし、固定資産課税台帳の名義だけで、民法上の所有権が確定するわけではありません

土地家屋調査士へ表題登記を相談する

登記記録がない建物では、所在・種類・構造・床面積などの物理的な情報を記録する表題登記を行います。

本人による申請も可能ですが、建築時の資料が残っていない場合は、建物の所有権や構造を証明するための調査が必要です。代理申請を依頼する場合は、表示に関する登記の専門家である土地家屋調査士へ相談します。

司法書士へ所有権に関する登記を相談する

表題登記後は、売却や抵当権の設定に備えて、権利部へ所有者を記録する所有権保存登記を進めます。代理申請を依頼する場合は司法書士が担当します。

代理申請を依頼するときの専門家の分担

表示に関する登記

土地家屋調査士

建物の所在・種類・構造・床面積など、物理的な情報を記録する表題登記を担当します。

権利に関する登記

司法書士

所有権保存・所有権移転や抵当権設定など、権利部に関する登記を担当します。

未登記建物を相続した場合の流れ

  1. 登記記録・課税状況を確認

    登記事項証明書、固定資産税の課税明細書、名寄帳を確認します。

  2. 相続人・所有関係を確認

    相続人と、建物を取得する人を確認します。

  3. 表題登記の手続きを進める

    表題登記がない場合は、遺産分割の状況も踏まえて手続きを進めます。

  4. 所有権保存登記を申請

    必要に応じて、権利部へ所有者を記録する登記を申請します。

一方、権利部に被相続人の所有権が登記されている不動産は、相続による所有権移転登記の対象です。

2024年4月1日から

相続登記が義務化されています

3以内に申請

原則として、相続による所有権の取得を知った日から3年以内に申請する必要があります。

完全な未登記建物では、この所有権移転登記とは手続きや期限が異なります。個別の起算日や必要書類は、管轄法務局や専門家へ確認しましょう。

まとめ

登記の状態に応じて、手続きを進める

未登記の不動産も相続できますが、登記の状態に応じた手続きを行う必要があります。

過料のリスク

表題登記や変更登記を放置すると、過料に処される可能性がある。

売却への影響

所有権の主張や抵当権設定が難しくなり、売却に影響する。

最初にすること

登記記録と課税状況を確認し、必要な登記を進める。

手続きの違い

完全な未登記建物と相続登記未了の不動産では、手続きや期限が異なる。

未登記のまま売却活動を始めるのではなく、土地家屋調査士や司法書士へ相談し、不動産会社にも売却の進め方を確認しましょう。

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